セレクトショップ・ヘブン
塾の帰り道……


暗い路地を歩いていると


【こんな所にお店なんてあったかな?】


と立ち止まる


『セレクトショップヘブン』


ライトアップされたその看板に首をかしげる


【ヘブンって天国……なんかヤバい店かな。】


そう思っているとドアが開いた。


ビクッとなった私にクスリと笑う少年


とても綺麗でドキドキしてしまう


「どうぞ…ここでは何ですから。中に入ってください。」


少年は私にそう言って店の中へ招き入れた


「あの……」


「なんでしょうか?」


「このお店って…」


中は薄暗く商品なんかは見当たらない。


「ここは普通とは少し違う店なので」


「はぁ…そう…ですか」


【わーやっぱりヤバい店だよ!!逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ!!】


少年は私に紅茶を差し出す。


「私はヘブンと言います。この店のオーナーです。」


「えっ?貴方がオーナー?」


私は素直に驚いた。


ただ店の名前がなんでヘブンなのかは納得したけれど。


「では、ふうかさん貴方の願いを教えて下さいませんか?」


「!!!! どうして私の名前?」


「貴方がここへくることがわかっていたのですよ。ただここから先は変則的な世界です。運命を選択するこの店以降の人生は選択した運命を決定するまでわからないのです。」


「???」


【難しすぎてよくわかんない!!】


「貴方は美しさがほしい?違いますか?」


「えっまぁ綺麗になりたいですけど。」


「ではそんな貴方にはこれを。」


そう言って渡されたのはお面である。


「これは?」


「つけて頂けばわかりますよ。」


私は恐る恐るお面をつけるとヘブンさんは私に鏡を渡してくれた


そこには凄く綺麗な私がいた。


「これ!?………私?」


自分なのか信じられなくて何回も顔を触る


「うれしい!!」


勢いよく頭を下げた私にうっとりするような微笑みを浮かべながら


「一週間です。」


「え?」


「一週間その顔で生活してみてください。」


「一週間ですか?」


「一週間後本当の顔と今の顔どちらを選ぶか選択して頂きます。」


そこまで聞き終わる頃には私は1人で暗い路地に立っていた


【夢?幻?……私疲れてるかも…】


ため息をつきながら家に帰るとベッドに倒れた


朝寝坊してしまい慌てて制服を着て家を出る


ギリギリセーフ!!


なのだが何故か周りから視線が集まる。


【なに?私なんか今日へん!?】


トイレに駆け込み鏡を見ると


そこには自分とは違う顔があった


【これ…昨日の!?】


嬉しくて飛び上がるとトイレから出る


最近仲良しのあすかの所へ向かう


「あすかー!!」


私は走っていき抱きついた


「びっくりした!!」


そう言って私を見たあすかは怪訝な顔をする


「誰ですか?」


「ふうかだよ!!」


「冗談言わないでよ」


そう言ってあすかは私から離れた


「顔が違うからわかんないのか。」


そうわかると学校に自分の居場所がないと気づき慌てて学校から出た
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