セレクトショップ・ヘブン
こうだいくんの家ははっきり言って汚かった。


男の二人暮らしだから片付ける人がいないらしい


でもお母さんの写真のある仏壇だけは綺麗だった


「ここ使え」


案内されたのは多分お母さんの部屋


ベッドも服も荷物も全部今まで誰かがいたような雰囲気を出している。


【時が止まってるみたい】


「あっ俺明日いないから」


「え?」


「バイト……じゃあな」


そういうと乱暴に扉を閉められた


「はぁぁぁ」


私はベッドに倒れ込む


気づくとそのまま眠りについていた


次の日の朝


とりあえずこの家を片付ける事にした


お母さんの服であろう物を借りて掃除をはじめる


溜まりにたまった洗濯物を洗って干し


積み重なった食器を洗いゴミを捨て床を拭く


冷蔵庫にはビールしか入っていない


【どうしよう?】


困っているとドアが開きこうだいくんのお父さんが現れた


「君は?」


「えっと千与田桜です」


「部屋を片付けたのも?」


「はい。勝手にすみません」


「いや嬉しいよ。久し振りに気持ちが明るくなった」


そう言って笑うその笑顔は私が知っている笑顔だった


「あの一緒に買い物行きませんか?」


こうだいくんのお父さんは快く了解してくれた。
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