ルッキング・フォー・ラブ ☆リアル・ファミリー☆
( 高速のパーキング )
 
親士が待っている。時計に目をやる。

そこへ暴走族仕様のバイクがやって来る。

親士はめんどくさそうに眺めている。

「なんじゃぁ・・・

こんな朝っぱらから、うっとうしい・・・」

そのバイクが目の前に停まる。

親士は拳を固め戦闘態勢で歩み寄る。

半ヘルメットとスキー用のゴーグルと

バンダナのマスクを取ると幸弘である。

親士は爆笑する。

「何だよ?いつから珍走団なんかに入ったんだよ?」

「弘が俺のバイク乗って行きやがったんだよ!

お前は携帯を家に忘れてるし、車は人に貸してるし、

時間は迫るし仕方ないじゃないかよ!」

「そうかよ、悪かったな。」

親士はようやく笑い止む。

そこへ祖父母と孫の家族連れが通りかかる。

「うわー!すっごいオートバイ!

ねぇ、すごいねぇ!おばぁちゃん。」

「これ、あんな人に関わっちゃいけません。」

「いい年してまだあんな事してるなんて!

まったく、嘆かわしい!」

呆然と聞く幸弘。

たまらず笑い転げる親士。

そこへ女子大生風の二人連れが通りかかる。

「何?あれ?ダッサダサ!」

「有り得ないよね~!かっちょわる~!」

それを聞いた幸弘は

「よう、早く行こうぜ!」

「了解しました。総長!『出っ発』ですね。?!」

むっとして走り出す幸弘。

でかい排気音が響く。

笑いながら追いかける親士。

「総長!待って下さい!総長~!!」

「うるせぇー!!総長って言うなー!!」

親士を振り切ろうとする幸弘。

二台の排気音が青空にこだまする。




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