ルッキング・フォー・ラブ ☆リアル・ファミリー☆
 フラフラと弘が立ちあがる。

幸弘もほっとした表情で歩み寄る。

「あっ・・・」

その時弘はふらついてしまい、

壁の空いている部分から屋外へ落下してしまう。

ギリギリで幸弘が弘の腰に括られたロープに

飛びつき掴み窓際で踏ん張る。

このフロアーは4階で落下すれば即死である。

「ぐぅううっ!!」

幸弘は弘を引き上げようとするが、

左手は負傷していて力が入らない。

引き上げるのが無理だと思った幸弘は

ロープを体に巻き付け柱越しに、

隣接している外壁の空き部分から

屋外へ飛び降りる。

その勢いで弘は引き上げられ

今度は弘が幸弘を引き上げる形になる。

しかし弘の力では幸弘を引き上げれない。

「ぐっ!くぅー!・・・

た、武司ぃー!おっさん!助けてくれー!!」

弘が叫ぶがどこで戦っているのか、

武司も親士も現れない。

幸弘も片手では自力で上がる事は不可能である。

そのうち弘も窓際まで引きずられ、

共に落下しそうになる。

ぶら下がった幸弘から、

泣き出しそうな顔で踏ん張る弘の顔が見えた。

今にも二人とも落下しそうな状況である。

「うっ、くぅう~・・・」

その時、幸弘と弘の目が合った。

その瞬間、幸弘は弘にニコッと微笑みかけた。

「えっ?」

と弘が思った瞬間、

幸弘は自らわざとロープから手を離し落下していく。

弘ははずみで後方に転がる。

幸弘は車の屋根に落下する。

「ダーン!!」

大音響がして屋根に幸弘がめり込み、

窓ガラスが全て割れて飛び散る。

弘は壁際に走り寄り下を見て絶叫する。

「何すんだよー!バカ野郎ー!!」

そこへ親士、武司が駆け寄って来る。

弘の横へ並んだ親士が下を見て叫ぶ。

「こ、ここから落ちたのか?!」

武司も下を見下ろす。

「まじかよ!やばいぜ!!」

幸弘は車の上でピクリともしない。

やがて頭から血が流れて車の屋根に広がって行く。

「何て事すんだよー!おいー!!」

弘の絶叫がこだまする。

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