ルッキング・フォー・ラブ ☆リアル・ファミリー☆
「なんだ、お兄ちゃん、なんか用か?」

「え、おじさんは?」

「俺はここのオーナーやがな。101号に住んどる。」

「あ、あの・・・この部屋の関口さんは・・・」

「あぁ?昨日急に引っ越したよ。」

「えぇっ?どこに?なぜ?!」

「知らんよそんな事。

引っ越し先も教えないんだから。

もうちょっとまともな人やと

思ってたがな。」

「そ、そんなぁ・・・」

呆然とした幸弘をじっと見つめるオーナー。

窓から駐輪場の幸弘のスクーターを見て

「あぁ、あのバイクの・・・ははぁん。

その様子じゃお兄ちゃん、あのねぇちゃんに

良いように遊ばれたな?へへ、そうやろ?」

「ええっ!?」

「図星か?金は貸してないんか?

でもまぁ、あんな良い体した

ベッピンなら良かったやないか?

なぁ?わしもあやかりたかったな。

わっはっは!」

唇を噛みしめこぶしを震わせた幸弘は

オーナーを突き飛ばし部屋を飛び出した。

「なにするんじゃ!このガキ!!」

オーナーの怒鳴り声を背に

スクーターに飛び乗った幸弘は

涙を流しながら疾走した。


 現在の雑踏の中、幸弘は我に返ってつぶやく。

「女なんて、すぐ裏切りやがる。

もう信じてたまるかよ。」

そのまま家路につき雑踏の中へ消えて行く。





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