誘惑上等!
「……理沙ちゃん……」
情欲でかすれかかった声でささやきながらスウェットの裾から手を突っ込むと、びくり、と大きく理沙の体が震えた。
期待や恥ずかしさ、ましてや気持ちよさからくるものではないことがはっきりと分かるようなその怯えた反応に、沸騰寸前まで高まった熱が一瞬にして引いていく。
-----------この馬鹿が。だから言わんこっちゃねぇんだよ。
性急すぎた自分の失敗を苦々しく思いながら、なけなしの理性を総動員してどうにか理沙の体から手を離す。誘惑するような甘い匂いが名残惜しげに鼻先を掠めるから、ぐっと堪えて起き上がった。
「……大悟?」
「がっついてごめん」
強がりでぎこちなく笑う。
「もうしないから、心配すんなよ」
安心させるためにぽんぽんといつものように理沙の頭を撫でてやろうとすると、手を振り払われた。
「別にがっついてもいいでしょ。……わたしは大悟の彼女なんだから」
そういって睨んでくるけれど、彼女の声は震えていた。
「わたしの方が年上なんだし。別に出し惜しみするつもりなんてないから」
したいならすればいいでしょ。理沙は固い声で早口に言うと一瞬泣きそうな顔をする。でもすぐにいつものように皮肉げな笑みを浮かべた。
「それとも、やっぱりわたしなんかじゃその気にならない?だから付き合ってもう一ヶ月もするのに全然わたしに手を出さないの?」
「--------あのさ。もしかしたらって思ってたんだけど」
直球で訊くことに多少のためらいはあったけれど、それでも以前から感じていたことを訊いてみた。
「理沙ちゃんってさ、処女、だったりする?」