Goodbye My Baby
未成年の中絶手術には、保護者の同意が必要とのことだった。


でも、お母さんにもお父さんにも、絶対に相談できない・・・




サインだけでいいなら、と、緒方くんに打ち明けることにした。

優哉も、「康介なら・・・」と、言ってくれた。



病院でもらった『同意書』というものを差し出すと、緒方くんは真っ青になった。






「おいおい・・・」



そう言って、優哉の方を見た。




「この前、急に、金貸してほしいなんて言ってきたのは・・・これが原因かよ?」

「・・・あぁ」




優哉がうつむく。



「・・・ったく」

「お願いできる・・・?」

「・・・先生たちがなんて言うか」

「誰にも言えないから、緒方くんにお願いしてるんだけど」

「そうだよな。・・・テニス部の一番手と、学年一位の間に子供、か」



緒方くんは、ぼそりとつぶやいた。

そして、覚悟を決めたように、はっきりした声で言った。



「15万くらいだったら何とかしてやる。サインもしてやる。でも、二度とこんなことするなよ」

< 39 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop