Goodbye My Baby
緒方くんの家は、極道なのだと、あとで優哉から聞いた。

地元では有名な家で、緒方くんは次期組長として名高いのだと。



学校ではごく普通の生徒だったから、そんなこと思いもしなかった。




でも、緒方くんは、きちんとお金を用意し、中絶の時に必要なものなんかも教えてくれた。

組の中の女性が子供を作ってしまったとき、その世話をする組員を間近で見ていたかららしい。






「中絶なんて、本当はするべきじゃないんだ」



緒方くんは言った。



「後悔するだけだ。好きなヤツとの間の子ならなおさらそうだ」




その言葉は重かった。



私だって、望んでこんなことしてるわけじゃないと言いたかった。

でも、考えなしな行為をしたのは、私たちだ。


二度と、誰かの命を絶つようなまねはしたくないと思った。

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