ユビキリゲンマ
だらだらと流れる赤黒い液体。
それがとどめなく流れる。
部屋に広がる鉄の匂い。
彼女の腹部に目が釘付けになった私に彼女はこういった。
「ドウシテワタシガ?」
そして狂ったように目を見開いて
「ドウシテワタシガ、ドウシテワタシガ、ドウシテワタシガ、ドウシテ、ドウシテ」
とカマを振り回し始めた。
彼女が私にカマを振りかざした。
その瞬間私は必死になって
彼女の腹部に刺さったままの包丁を押した。
グチャ。グチャ。
といいながら、貫通はしなかったものの包丁は彼女の腹部の奥深くまで到達した。
橋本さんがバタリと倒れた。
それでも安心できなかった私は
彼女の手に握ってあるカマをとって、
彼女に何度も何度も刺した。
そして息を切らしながらも安心した私の目の前には…
ぐしゃぐしゃになった彼女が倒れていた。