ユビキリゲンマ
「彩、上にもう一枚服を着てきなさい。急いで!早く!」

緊急だと、幼いながら分かったのか、ひきつった顔で取りに行った。
私もバッグをつかみ上を羽織る。

降りてきた彩を掴み、猛スピードで玄関へ行った。
そこにたっていたのは…

「ヒッ!」

私が殺したときと同じ姿の橋本さんだった。
私がカマで切ったので顔が歪んでいて、腹部に包丁を刺したままだった。
彩がガクガク震えている。私も。

どうして?死んだはずじゃ?

彼女はニターっと笑い言った。

「私ノ約束ワ破ッタラダメダッテ言ッタデショ?ナノニドウシテ石田サンワ破ッチャッタノォ?私ノ約束ヲ破ッタラ」

「皆皆コロスヨ?」

アハハハハハッ!

橋本さんが笑う。いや、もう橋本さんじゃなくて…


殺人鬼だ。

「やめてっ!彩だけはっ!」

泣きながらそう叫ぶ。

「親子愛カァ。美シイナァ。」

そう言って彼女はカマを振りかざした。

私と子供。

二人分の悲鳴が響き渡った…。
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