ユビキリゲンマ

喜びにうちひしがれていると、華と優子がやって来た。
怒ってる。私なんかしたっけ？

華が橋本さんをジロッて睨んで私に耳打ちする。

「知らないの？アイツ男好きって噂されて有名なんだよ?!皆嫌ってるのに。なんでこんな人さそうの？」

え？いや…だって…てか
橋本さん嫌われてるんだ。

二人が私に「夜遊びが激しい」とか「ぶりっこだ」とかくだらない噂話を私に耳打ちしてると、橋本さんが話し出した。

「あの…これって遊びの約束ですよね？」

すると優子がめんどくさそうに

「そうだけど、なに。」

と言った。
橋本さんは華と優子の迫力ある睨みにびくともせず、続けた。

「それじゃ、ユビキリゲンマしませんか？約束するときにしますよね？私誰かと約束ごとをするときは必ずそれをするんです。もう癖になりました」

そういって橋本さんは小さくクスクスッと笑った。