滅びの彼方

結局は自分の為なのだろうかと少し疑問に感じたが、そんなことはさておき、いよいよ目の前にご立派な城壁が見えてきた。


―これは、まぁ、見事な。


思わず感嘆の声が漏れる。

数十メートルはあるであろうこんな城壁を私は今まで知らずして生きてきたのか。

我が国の、隣国であるというのに―。


私は静かに城壁に駆け寄った。
もし見張りがいれば、捕まるかも知れない。

壁に張り付き、そっと移動する。

次第に見えてきたのはこれまたご立派な城門と、…たった一人の憲兵。


憲兵はご丁寧に微動だにしないまま銃を携え、前を見据えている。


…嗚呼、困ったな。

これでは中に入れない。


国民に紛れて国内へ入ろうと考えたりもしたが…

その肝心な国民が待てど待てども一人たりとも現れない。

それに…城壁にいくら耳を近づけても人の声ひとつしない。

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