お向かいさんに恋をして
一目惚れです!
今日から念願の一人暮らし。

両親は最初、一人娘の私を実家から出すことに猛反対した。

それを説得して説得して、どうにか許してもらえた。

沢山条件をつけられたけど、それでも憧れの一人暮らしは嬉しい。

新しい土地。 
新しい学校。
新しい友達。

私だけのお部屋。

恋もしたい!

でも、今までみたいな片想いどまりの恋じゃなくて、素敵な人と出会って、恋人になって、一緒に恋をしたいな。

そんなことを考えながら、一通り片付いた部屋を見渡すと、部屋の隅に押しやっていた紙袋が目に付いた。

中身は丁寧に梱包された菓子折りが4つ。

今時いいよ、してる人いないよって言ったんだけど、

「最初が肝心なの。最低限のご挨拶くらいなさい。
大家さんと両隣と、お向かいさんだけでいいから」

と、お母さんに無理やり持たされた物だ。

「仕方ない、配ってくるかぁ」

私は重い腰を上げ、紙袋を持って部屋を出た。
< 1 / 226 >

この作品をシェア

pagetop