お向かいさんに恋をして
私もバイトしてるけど、お小遣い程度。
と言うかほぼお小遣いだ。
学費も生活費も親が出してくれている。

同じ年齢なのに、安達くんは自立しているんだなぁ。

「安達真面目っ！
見た目とのギャップ！」

きなこちゃんが笑い、

「うっせっ！　悪いかっ！
バカきなこ！」

安達くんはムッとしつつも笑っていた。

私は安達くんって立派だなぁ、と感心した。

別の日には、突然立ち上がったかと思うと別の席の男子に話しかけて連れていってしまった。

後から聞くと「アイツ具合悪そうだったから医務室連れてった」と言い、お弁当の続きを頬張った。

「安達ってさらっとそういうこと出来るよね、前も道でお婆さんの荷物持ってあげてたし」

「そんくらい当たり前だろ」

二人のそんな会話を聞いて、優しいんだなって思った。

そもそも手作りの味を恋しがるなんて、素朴な普通の好青年なんじゃないかな。
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