お向かいさんに恋をして
「今お昼? 遅いねー?」

「引越しの手続きで動きまわってて、遅くなっちゃったんですよね」

テーブルを挟んで向かい合わせに座り、私はサンドイッチを、竹井さんはスナック菓子をほおばりながら、女子トークは始まった。

「あー、それ、かなり面倒くさいよねー」

竹井さんは自分のときのことを思い出したようで、思いっきり顔をしかめた。

思ったことがすぐ顔に出るタイプなのかな?
竹井さんって、分かりやすくて面白いかも。

「ところでどうしたんですか?
突然押しかけてきて」

「押しかけただなんて、人聞きの悪い言い方ねぇ。
まっ、そうなんだけどさっ」

全く悪びれる様子もなく、あははと声を上げて笑う竹井さんに、図々しさと清々しさの次に豪快さも感じた。
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