お向かいさんに恋をして
「花火が良く見えるし、混んでなくて最高っ! おばぁちゃん、素敵な眺めのお家に住んでるんだねっ! 特等席だぁっ」

「でっしょ~! おばぁちゃんの家は何時来ても素敵な眺めを楽しめるのよっ!

ご飯も美味しいしっ」

「ふぉふぉふぉ。
きなこ餅ちゃんありがとよ。

留奈ちゃんは相変わらず花より団子だのぅ」

「なによ、おばぁちゃんったらっ」

きなこちゃんが絶賛した眺めに、留奈さんがふんぞり返ってまるで我が家のように自慢している。

そんな2人を楽しそうに優しい瞳で見つめるおばあさん。

私はそんな光景をぼんやり眺めながら、秋中さんのことを考えていた。

「桜、綺麗だね」

春にここから一緒にお花見をしたとき。

秋中さんは桜を褒めた。
同じ名前を持つ私は、胸を高鳴らせたんだ……。
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