お向かいさんに恋をして
「留奈さんは本当に清々しく図々しいですね。
突撃訪問したり、勝手に布巾使ったり、冷蔵庫開けたりグラス出してきたり……。

……なんか、ここまで来ると家族みたい」

くすくす笑いながらお茶を飲む。
留奈さんの行動に涙が引っ込んだ。

「家族かぁ。うんっ!
さくらちゃんならいいわよ!
留奈お姉ちゃんって呼んでくれても!」

何故かふんぞり返って宣言する留奈さんに笑ってしまう。

優しいんだなぁ。
図々しいけど。

「留奈さんが妹ですよね?」

「え、あたしお姉ちゃんでしょ?!」

そんなやり取りをしているうちに、少し気持ちが明るくなってきた。

それから夏休み中、ますますバイトの時間を増やして気を紛らわせていたんだ。

それでやっと最近、ちょっと立ち直ってきたところだった。
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