お向かいさんに恋をして
「わっ! 盛り上がってるね!」

「本当だねぇ」

当日は素敵な秋空となった。
頬を撫でる風も心地よく、最高の気分。

「お天気に恵まれて良かったねぇ」

「だね、文化祭日和だね」

おしゃべりをしながら、私ときなこちゃんは校内に足を踏み入れた。

……凄いっ! 
本当のお祭りみたいっ!
これが高校の文化祭?!

仮装している学生、沢山の屋台、ごった返す人、人、人……!

私が通っていた高校とは全然違う。
文化祭のスケールもそうだけど、まず学校の大きさが全然違う。

凄い……。
田舎者丸出しで校内をきょろきょろ見回していると、きなこちゃんがくすくす笑った。

「さくらちゃん、今日は課題とかバイトとか、ぜ~んぶ忘れて楽しもうねっ」

「……うんっ!」

きなこちゃんの言う全部の中には、秋中さんのことも含まれているのだろう。
というか、それを一番気にかけてくれてると思う、

やっぱり優しい。
< 139 / 226 >

この作品をシェア

pagetop