お向かいさんに恋をして
「そうなんだ。面白いねぇ! 
てっきりきなこちゃんは前からずっときなこちゃんなのかと思ってたよ」

「……っ」

私の一言に、きなこちゃんは一瞬だけ顔を曇らせた。

あれ……?
私もしかすると悪いこと言っちゃった……?

「き、きなこちゃん……?」

声をかけると、きなこちゃんはハッとして、いつもの笑顔に戻った。

「はい、じゃあ次はさくらちゃんねっ」

にこりといくつかの輪っかを渡された。
今のは表情は一体……?

「や、私は……」
「早く早くっ」

ウキウキとした眼差しをこちらに向けるきなこちゃんに、これはやらなきゃ終わらないなぁ、と私は観念した。

それにしてもさっきのきなこちゃんの表情、どうしたんだろう……?

気になりつつも、取り敢えず今は輪投げをすることにした。
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