お向かいさんに恋をして
たこ焼きを差し出してくれた彼の顔に見覚えがあった。

「あ、安達君……?」

「はい……?」

安達君はまるで私を知らないかのようにキョトンとしている。

なんで安達君が高校の文化祭でたこ焼き焼いてるのっ?!

ってか何でいつもはあんなに馴れ馴れしいのに今日は他人行儀かなっ?

私は彼を暫く見つめて、一つの考えに達した。
これもきっと、バイトなんじゃないかな? と。

高校の文化祭でたこ焼き売ってバイトしてるなんて、深く聞いちゃいけない、知らない振りしてろってことなのかな?

普段からバイトを頑張っている安達くんが脳裏を駆け巡った。

きっと今日も頑張ってるんだ。

私は無言でわかったよ、と頷いて、たこ焼きと緑茶を受け取った。

「400円ですね~」

他人行儀な安達君に会計を済ませ、私は秋中さんの元へ急いだ。
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