お向かいさんに恋をして
……なるほど、無料券という餌で難解輪投げを作って儲けるつもりが、初っぱなから名人を名乗るきなこちゃんに景品かっさらわれてしまったのか。

一回で五個投げれる200円の輪投げ。
最初に一回、私の分で一回、追加で一回の計三回。

600円でそこまで無料券かっさらって……。
絶対このクラスは赤字だ。

ちらっと輪投げコーナーに目をやると、係のお兄さんが涙目になっていて、背中に哀愁をただよわせていた。

……可哀想に……。

あんな難解輪投げをあっさり攻略されるとは、誰も思わないもんね。

「さくらちゃん!
これで1日たっくさん遊べるねっ」

「そ、そうだね」

ご満悦なきなこちゃんに、あたしは苦笑いを浮かべた。
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