お向かいさんに恋をして
「ま、まぁ今はとりあえず俺のツレ探すの手伝ってくれよ、な?」

「そ、そうだね。行こう、さくらちゃん」

「うん、そうだね……」

私はうっかりな発言をしてしまったらしく、ちょっとぎこちない空気になった。
それを和ませるように、二人は努めて明るく言った。

また迷惑をかけてしまった。
お詫びも兼ねて役に立とうと、懸命に安達君のお連れさんを探した。

「あ……」

探し始めて数分後、前方にそれらしい人物を発見した。

「安達君、あの人は?!」

私は興奮気味にピョンピョン跳び跳ねながら、安達君の肩を叩いた。

「お。 あ、あいつだっ!」

私が指差すと、安達君はその姿を確認して走って行ってしまった。
さながらドラマで犯人を確保しに行く刑事さんのような素早さだった。
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