お向かいさんに恋をして

「それにしても文化祭なんてどのくらい振りかしらね？

健二に誘われた時には、え、久しぶりの再会デートが文化祭なの？ って正直びっくりしたけど、来てみると楽しいわね！」

「あはは、驚かせちゃったか。ごめんよ。

校長先生にご挨拶もしたかったし、文化祭って懐かしいなぁ、なんて思ってさ」

楽しいなら良かった、と秋中さんはゆかりさんに微笑んだ。

「確かにね。青春時代を思い出すわね。
……あ、貴方高校の文化祭の時……」

「やめてくれよ、それ黒歴史なんだから」

楽しそうに会話に花を咲かせながら、綺麗でお似合いな二人は、私達の横を通り過ぎて行った。

すぐ側だったし、私がゆかりさんを凝視していたにも関わらず……。