お向かいさんに恋をして
「ん? どっか行きたい場所でもある? それとも食べたい物とか。
あ、布団は用意してあるから大丈夫だよ」

私が想いを巡らせていると、電話の向こうから戸惑いを含んだ声が聞こえた。

「さっきから話が食い違ってるような気がするんだけど……」

? 特におかしなことは言ってないけどな。

「お母さん仕事始めてないし、そっちに行く目処もまだ立ってないのよ? 

送ったのも食料品だし」

……。
暫しの沈黙が流れ、我に返った私は慌てた。

えぇっ?!

「じゃ、じゃあこのハガキはっ?!」

「か、確認しなさいっ!」

慌ててバックから取り出して、ハガキの宛先を確認する。

「あ‥‥‥‥」

思わず漏れた声にお母さんが反応している。

「な、なに?」
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