お向かいさんに恋をして
「詐欺じゃないでしょうね? 
あなた、ぬけてるから心配だわ。

独かり暮らしはやっぱり早かったんじゃ……」

わたしって、ハガキ一枚そここまで心配されちゃうの?
ため息を吐きながら返事をする。

「同じ階の人のハガキが間違えて入ってたみたい。

大丈夫だよ、詐欺じゃない」

「なんだ、なら大丈夫ねっ……って、大丈夫じゃないでしょう! 

人様のハガキを持って帰って来ちゃうなんてっ!
宛先くらい確認しなさいっ!
これだからあなたはっ……」
「お、お母さん返してくるから、またねっ」
「あ、こらっ! まだ話はっ……」

お説教モードに入ったお母さんは大変だ。
私は携帯を切って、ハガキを手に立ち上がった。

それにしてもお母さん、ノリツッコミなんていつの間に覚えたんだろう。
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