お向かいさんに恋をして
「ふぅん。

郵便屋さんが間違えて入れたハガキを、さくらちゃんが間違えて持って帰っちゃったと。

で、不審者にみられたかな~っと心配してた、と」

留奈さんは楽しそうに笑っている。

「笑い事じゃないですよ~。
びっくりしたし、お母さんには怒られるし」

って、私が悪かったんだけど。

「でも良かったじゃない。
そのアクシデントのお陰で、秋中さんのこと少し知れたんだからさ」

そう、あのハガキは秋中さん宛だった。

始めて知った、秋山さんの下の名前は健二さん。

留奈さんは呑気に

「次男坊かしら?」

なんて言いながら頬杖をついてスナック菓子をつまんだ。

健二さん……。
頭の中で繰り返し名前を呼んでみる。
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