お向かいさんに恋をして
いつか、頭の中じゃなくて実際に名前で呼んでみたいな……。

あ、違う、そうじゃなくて……。
名前で呼びあえる仲になりたいな。

なんて妄想を膨らませていると、

「あははっ! 
さくらちゃん、考えてることまるわかり! 面白い!」

留奈さんにほっぺたをつつかれて、からかわれた。

「も、もぅっ! 
留奈さんは毎回毎回、からかいすぎなんですっ!」

「すぐ真っ赤になって可愛いんだもんっ」

暫くからかって気がすんだのか、留奈さんは身を乗り出した状態から座り直して、こほん、と一つ咳払いをした。

「で、ハガキの情報によると、誰かが秋中さんを訪ねて来るんだよね?」

私は頷いた。

「いつなのか時期は分かりませんが、女性だってことは確かなので不安です……」

「え? そうなの?」
< 49 / 226 >

この作品をシェア

pagetop