運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
【空】
それから、2か月後。
―――コンコン。
新婦控え室のドアを叩く。
「はい」
返事が聞こえて私がドアを開けると。純白のウエディングドレスに包まれた瑠美の姿があった。
「…来てくれないかと思った」
「バカね…、親友の結婚式に出ない親友がどこにいるのよ」
「空…ひくっ…」
「瑠美…」
涙を溢れさせる瑠美を優しく抱き締めながら、あの日事を思い出す。
『私、佳宏と結婚出来ない!…ううつっっ…』
『…媚薬を飲まされて、准一が私を無理やり抱いた』
『きっと、佳宏は許してくれる。…でも。私は佳宏以外に抱かれてしまった自分が許せない!』
と、瑠美は涙が枯れるまで泣いていた。
「瑠美、やっぱりこの結婚は辞めよう」
けど、瑠美は首を横に振る。
そして…お腹に手を乗せて優しく撫でる。
「この子の名前ね、もう決まってるの、…男でも女でも“佳宏”と“瑠美”から一文字ずつ取って”瑠佳”。…佳宏と私の子どもだっていう唯一の証」
「じゃあ、なんで!?」
「佳宏には淳と空がいるから大丈夫。…准一には私しかいないみたいだから…」
「そんなの同情じゃない!?」
「うん。でもね…『あの夜』の事はすぐ謝ってくれたし、今は私をなによりも大切してくれてる」
「…幸せ?」
「…だと思う。なにより私には”この子”がいるから大丈夫だよ」
「そっか…」
そう言って、私たちは涙を溢れさせながら微笑んだ。