運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~


数日後。


「よし!」

私はある封筒を手に『GWホテル』の本社に来ていた。

「すみません、副社長室はどこですか?」

「お約束はありますか?」

「いいえ、身内の者です」

「失礼ですが…お名前は?」

「瑠佳です。…津田瑠佳です」

手続きをすべて終えて、私は本来産まれてなるはずだった”津田瑠佳”によやくなれた。

『幸野家』の義父さんの兄―――伯父さん夫婦に真実を打ち明けると凄く驚いていたが、私が『幸野家』から籍を抜くことを許してくれた。

義父さんには『お前の好きにしろ』と言われただけだった。

「…確認が取れましたので、どうぞ」

受付の社員にそう言われて、副社長室に向かった。


社長室と副社長室の前。


「お待ちしておりました、瑠佳さん。…私は社長と副社長の秘書をさせて頂いています。長谷諒太(ながたにりょうた)です」

と、黒髪をした長谷さんは挨拶した。

「初めまして、津田瑠佳です。父がいつもお世話になっています」

「…”津田”か…。でも、顔はやっぱり瑠美に似てるな」

「母のことを知ってるんですか?」

「ん、俺も佳宏たちの高校時代からの親友。だから、気軽に声をかけてくれ」

「はい。…ところで、父さんとおじさんは?」

「あいつなら…」


―――ガチャ。

副社長室の隣の社長室のドアが開いて、父さんとおじさんが出て来た。

「宏佳、淳。ちょうど良かった。瑠佳ちゃんが来てるぞ」

「瑠佳」

「瑠佳ちゃん、どうしてここに…?」

「今日で全部手続きが終わったから…」

そう言いながら、封筒から書類を父さんに手渡す。

氏名欄には”津田瑠佳”とある。

「やっと、俺の所に…」

「良かったな、宏佳」

長谷さんはそう言いながら、父さんの肩に手を置く。

「…でも、数年後には瑠佳ちゃんはまた”名字”が変わるんだろうね~~」

「えっ!?」

「もし、ウチの陸と結婚したら”仁田瑠佳”になるだろ?」

おじさんは、意地悪ぽく笑う。

「陸が一人前になるまでは、瑠佳は渡さん!」

「お前ら、気が早ぇ~~」

「…もうやめてよ…」

3人が盛り上がってる中、私は顔を赤くした。

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