運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
【枢】
「ふぅ…」
この時間は俺は授業がないので、職員室でいろいろ作業をしていると、よく知る声がした。
「なんだ、お前しかいないのか?枢」
「親父」
学校では俺たちが親子というのは他の職員たちに隠しているため、普段はそうここでは呼ばないが今は周りに人がいないから問題ないだろう。
「珍しいな、親父がこんな時間帯にここに顔を出すなんて」
「瑠佳ちゃんに聞きたい事があったんだが…」
「瑠佳に?」
俺がそう言うと、親父はある紙を差し出した。
【桐田学園 職員:津田瑠佳は、いろんな男と寝る淫らで最低な女だ】
という一文から始まり、過去にどれだけ『男遊び』をしてきたか数枚の写真と共に鮮明に書いてあった。
「なんだよ、これ…」
「わからない。…けど、この事が周りに知られるのも時間の問題かもしれない」
そのまましばらく俺たちが黙り込んでいると。勢いよくドアが開いて田中先生が入って来た。
「切田先生、あれ?切田理事長。…いらっしゃっていたんですか?」
「ちょっと、用があってね」
「…で、どうしたんですか?」
「あっ、そうでした。雨宮がランニング中に倒れて保健室に…」
「田中先生、そう言う事は早く言いたまえ!」
親父は田中先生にそう言い放った。
「すみません!あの…ご両親への連絡は…」
「必要ない。…お前は優姫の様子をさっさと見て来い。あと心配なら病院に連れて行け」
「わかってる。悪いけど俺の有休届けを出しといてくれ」
「ああ」
そう言って、俺は帰り支度を始める。
「あの…切田先生、理事長?」
田中先生は俺と親父の会話のやり取りを不思議に思ったのか、俺たちを交互に見る。
親父も俺も「しまった!」と思ったが、「この際だ」と親父が口を開く。
「実は私たちは”親子”なんです。息子の立場が複雑になるので、基本的には秘密にしてるんです。雨宮優姫は私が再婚した妻の子で私の”義理の娘”になります」
「えっ、そうなんですか!?…わかりました、この事は他言しないので安心してください」
「ありがとうございます、田中先生。…では、雨宮は俺が連れて帰ります」
「はい」
「なんかあったら、電話しろよ。枢」
「ああ」
そう言って、俺は保健室に優姫を迎えに向かった。