運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
翌日。
目が覚めると、隣に瑠佳の姿はなった。
机には【先に行きます】とメモあった。
俺は支度をして学校に向かった。
学校の校門を潜(くぐ)ると、なんだか周りがザワついていた。
教室に入るなり、優姫と樹里が駆け寄って来る。
「陸!」
「大変な事になってる!」
「なんのことだよ」
「あんた、知らなの?これよ、これ!」
樹里がそう言って、俺に紙を差し出した。
【桐田学園 職員:津田瑠佳は、いろんな男と寝る淫らで最低な女だ】
という一文から始まり、過去にどれだけ『男遊び』をしてきたか数枚の写真と共に鮮明に書いてあった。
「なんだよ、これ…」
俺は体が凍りつき震えた。
――ガラガラ。
と、ドアが開いて枢兄と瑠佳が神妙な様子で入って来た。
「HR始めるぞ」
「先生、過去に律田先生と『セフレだった』って本当なのかよ?」
1人のクラスメイトの男子がそう手を上げて枢兄に問いかけた。
「お前らには関係な―――」
「本当よ」
「「「……!!」」」
「おい、お前…」
「私なら、大丈夫だから…」
そう言って、瑠佳は枢兄に微笑んで自分の過去を話し始めた。
「…そんな私に『心から人を愛する事』を教えくれた彼がいた。彼は出逢って間もないのに私の心を見透かして『誰かに愛された事も、心から誰かを愛した事ないだろ』って冷たい事を言ったかと思うと『俺の前では、本当のお前でいろよ』って弱い私でも彼は受け入れてくれて、愛してくれた」
「…っ」
俺と目が合うと瑠佳は微笑んだ。
かと思うと、瑠佳はその場で倒れ込んだ。
―――バッタン。
「おい、どうした!?」
教室がザワつく。
俺は席を立ち上がる。
「…どいて、切先」
みんなが注目する中、冷静に迷う事なく枢兄と瑠佳のほうへ駆け寄って行く。
「仁田…」
枢兄の腕から、瑠佳を俺の腕のほうへ移動させる。
「昨夜から…いや、最近ずっと様子が変だったんだ。『この件で寝不足だったんだ』と思ったんだけど、もしかして…」
「…っ!!…その、心あたりがあるのか?」
「毎回『アレ』はしてるけど、絶対じゃないだろ?」
俺はそう言って頷き、枢兄と顔を見合わせた。
「…わかった。病院に行こう。優姫!お前は親父に連絡してくれ」
「あっ、わかった!」
と、枢兄と優姫の声が教室に響き渡った。
「…なんで、切田先生が優姫ちゃんこと呼び捨てにしてるの?」
「…仁田もなんで、律田先生が『調子が悪い』って知ってるんだ?」
みんなが新たな噂を立ってる中、俺は瑠佳を抱きかかえて枢兄の車で病院に向かった。