運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~


病院。


病室から医師(せんせい)が出て来た。

「医師、あの瑠佳は…」

「はい、あなたのおっしゃる通りでした。妊娠3ヶ月…8週目に入ったところです」

「そうですか」

「……」

枢兄と医師の話を黙って聞く事しかできなかった。

「…倒れたのは寝不足とストレスが原因でしょう」

「はい、ありがとうございました」

医師と話した後、枢兄と一緒に病室入って俺はベッドの近くにある椅子に座った。

「…これからどうする?きっと、今以上に騒ぎになるぞ」

学校では今頃、さっき俺の行動で瑠佳との『関係』が噂になってるだろう。

でも、それは前から俺なりに覚悟していた。

「…俺はなにを言われても構わねぇよ。枢兄もそうだろ?」

「当たり前だ。…親父に電話してくれる」

そう言って、枢兄を病室を出て行った。

ドアを閉まったかと思うと、瑠佳の声がした。

「…陸?」

「瑠佳、大丈夫か?」

「うん…。ねぇ、赤ちゃんは?」

「知ってたのか?」

「陸のウチに行く前に、妊娠検査薬で調べたの」

「それで普通、昨日ヤるかよ」

「そうね、赤ちゃんに悪かったわ」

瑠佳はそう苦笑いをする。

「瑠佳、俺が高校卒業したら結婚しよう」

「嫌よ…」

「なんでだよ!?大学で勉強しながら、会社を手伝うつもりだし」

「『元セフレ』がなにするかわかんないよ!」

「はぁ?『元セフレ』って…」

「…付き回れてたんだよ。そうだろ?瑠佳」

再び、枢兄が病室に入って来る。

「それで…”今の彼氏”と別れないと、学校に過去と陸との『関係』をバラすとでも脅されたんだよ」

「やめて!枢。陸には『言わないで』って言ったでしょ!」

「なんだよ、それ…。俺が信用できなかったって事かよ!?」

「違う!!」

瑠佳は大声で、俺の言葉を否定する。

「…だた、あなたを守りたかった。学校も辞めるわ。子どもも1人で育てる」

「…っ!」

「瑠佳…」

「陸も枢も迷惑かけな―――」

「そんな事させねぇよ!」

そう言って、俺は瑠佳を強く抱き締める。

「…『俺の女になったら離さない』って言ったろ?忘れてるんじゃねぇよ」

「陸…」

瑠佳は涙を溢れさせて泣きながら、俺の背中に腕を回した。



 
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