運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
【優姫】
「…お前が四葉のクローバーを見つけて俺たちにくれたんだろ?『これを持っていれば、今度逢った時にすぐわかるように』って…」
「…っ!!」
私は先生の言葉に目を丸くして、口を手で覆った。
10年前、あの真夏の記憶がよみがえってゆく。
…ああ…
あの日、別荘の近くで出逢った2人のお兄ちゃん。
私に優しく手を差し伸べてくれた人。
そうだったんだね…
『枢、悠』
あの真夏の日、私は笑顔で2人のお兄ちゃんをそう呼ぶ。
あなた…あなたたちだったんだ…
記憶がよみがえって来て、私は再び涙が溢れた。
「か…なめ?…枢なの?本当に…」
「ん、ずっと…黙っててごめんな。優姫」
「…ひくっ…枢。ずっと、ずっと…逢いたかった!」
私は先生―――枢に抱き着いた。
「ああ、俺もずっと…言いたかった。俺たちはやっぱり”義兄妹”にはなれないな…」
枢はそう言うと、私の唇を塞いだ。
「んんっ…あ…ふっ…」
昨日の夜と同じように舌同士が絡み合う。
けど、なにかが違う。
優しいキス…
「好きだよ。優姫…」
「私も大好きだよ。枢」
私たちは微笑み合った。
…ねぇ、枢。
きっと、こういう出逢い方が私たちの『運命』だったんだね。
たとえ、辛い事や苦しい事があっても私は何度でもあなたを選んでしまうと思う。
だって、私たちはきっと『出逢ってしまう運命、愛し合ってしまう運命』なんだから…
私は、そう信じたい。