運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
【優姫】
放課後。
「おう、優姫。帰ろぜぇ」
「優姫、一緒に帰ろう~♪」
話をかけてきたのは、親友の仁田陸(にったりく)と一ノ瀬樹里。
2人は中学の時からの付き合い。
でも、親の離婚の事はまだ言えてない。
…っていうか、私自身が心の整理がついてない。
母さんがウチを出て行ってから、1人ぼっち。
帰りたくない…
「ごめん。私、今日は用事が…」
嘘…
「そっか。…じゃあ、私たち帰るね♪」
「じゃあ、まだ明日な。優姫」
「うん…明日ね。樹里、陸」
2人は教室を出て行った。
―――ガラガラ。
しばらくして、ある男が教室に入って来た。
「なんだ、お前まだ残ってたのか?」
「切田先生…」
先生は私の前の席に座る。
「どうした?仁田と一ノ瀬は、もう帰ってるだろ」
「……」
「…雨宮。親御さんの離婚に納得をしてないじゃないのか?」
「えっ、なんで…知って…」
「俺はお前の『担任』だからな。それとお前の親父さんの会社の事もよく知ってる」
「どうして、先生が…」
「これは雨宮だから言うけど…俺、『雨宮グループ財閥』のライバル会社『切田グループ財閥』の社長なんだ。だから、『雨宮グループ財閥』の…お前の親父さんの動きは逐一(ちくいち)報告が入ってくるの」
…はぁ!!??
『雨宮グループ財閥』のライバル会社の社長が、自分の『担任』だったの!?
ありえない~!!
『切田グループ財閥』は、日本でも海外でも『雨宮グループ財閥』と1,2を争うトップ大企業だ。
家電商品・食品・化粧品・ホテルなど、様々な経営に携(たずさ)わっている。