運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
10:30
リビングで私と枢は寛いでいると、玄関のチャイムが鳴った。
―――ピ~ンポン。
「誰だ?」
「あっ、私が出るよ」
「ああ」
私はその場を立ち上がり、玄関のほうに行ってドアを開けた。
「は~い」
「あ…」
「あ…」
当然のようにドアを開けた私に悠は一瞬目を丸くして、いきなり抱き着いて来た。
「きゃっ…!」
「優姫、無事でよかった~!!」
「は、悠!くる…苦しい~~!!」
「あっ、悪りぃ。…でも、俺のことを”悠”って呼んでくるって事は思い出してくれたんだな」
「うん」
「…これからは、”義兄貴”として優姫を守ってやる。お前のことは”優姫”って呼ぶ」
「うん、ありがとう。悠」
悠は再び私を抱き締めた。
「…おい、いつまでそうしてるつもりだ?悠」
背中に鋭い視線を感じて、後ろを振り向くと怒りの黒いオーラを滲み出ている枢が私と悠の後ろに立っていた。
…オーラが痛い。
「なんだよ、兄貴。俺にヤキモチを妬いてんの?」
「……」
「だだ、可愛い”義妹”を”義兄”として抱き締めただけ。…兄貴って、そんなに心が狭い男だったけ?」
「このシスコンが…」
「優姫、兄貴に告白をされたんだろ?」
「…うん…」
私は顔を赤くして頷いた。
「優姫、余計な事は言わなくていいからな」
「酷いな…。せかっく、人が心配してやったのに…」
「なんか、いろいろ心配をかけたみたいでごめんね。悠」
「お前が謝る事じゃねぇだろ?」
そう言って、悠は私の頭を撫でてくれた。
「…んで、なにしに来たんだ?」
「あっ、忘れてた。親父と優子さんに頼まれて迎えに来た」
「…ったく、わかった。すぐ支度をする」
「じゃあ…私、着替えてくる」
私たちは出かける支度をして、枢と悠の実家に向かった。