運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
それから、しばらくして…
「優姫、見てあれ…」
「ん?」
樹里が3年の女子数人たちに囲まれている枢を見つけた。
「ねぇ、切田先生。今彼女はいるの!?」
「それは…もちろん、ヒミツ♪」
「え~~~、先生のケチ」
そんな会話が聞こえてくる。
しかも先輩たちは枢と1、2歩踏み出せは、くっつきそうな距離にいる。
…なによ、もう少し離れてよ。
それ以上、私の枢に近づかないで…!!
その人は、私の”彼氏”なんだから…
こういう時、自分が『生徒』という事が凄く嫌に思えてくる。
「じゃあ、好きなタイプは?」
「そうだな~~~。周りには強がって、でも本当は誰かに気づいてほしいと思ってて…『お互いに支え合って行こう』と思えるヤツかな。そして、俺だけに特別な笑顔を見せてくれるヤツ」
「先生、なんか具体的だよね。やっぱり…”彼女”いるじゃないの?」
「…もういいだろ。お前ら、さっさと行け」
「「「は~い」」」
そう言って、先輩たちはその場を去って行った。
「うわぁ~~、相変わらず切先はモテモテですね♪」
樹里がニヤニヤしながら言う。
「でも、あんなに具体的に言えるなんて、絶対に”彼女”がいると思う。優姫、お前もそう思うだろ?」
―――ギック。
陸に話題を振られて、思わず焦る。
「えっ、それは…」
「おい、お前ら。…俺がなんだって?」
まさしく、ナイスなタイミングで枢が私たちに気づいて話かけてきた。
「切先!?ビックリした~~~!!」
「そんなに驚くなよ、一ノ瀬。…んで、俺がなんだって?」
「いや、さっきの先輩たちと切先の話が聞さこえてさ」
と、陸が言う。
「ああ、聞こえてたのか。ゆ…雨宮、お前も?」
「はい、先生はモテモテでいいですね♪…でも、あんなにくっつかれたら先生の”彼女”はきっとヤキモチを妬いてると思うよ」
私は軽く枢を睨む。
「あれは、ちがっ…」
「優姫、なんでお前が怒ってんの?」
陸と樹里が不思議そうに私を見る。
…あっ、しまった!!
私、陸と樹里の前で…
「…別に怒ってないよ!だって、私には関係ないもん…」
「……雨宮、そうだ。数学準備室に来てプリントを整理するのを手伝え」
「なんで!?」
「いいから…放課後、来いよ」
枢はそれだけを言うと、どこかへ行ってしまった。