運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
【陸】
「ちょっと!先生、悠。向こうで話があるから来て」
「おい、ゆ…雨宮!?」
「俺たち、なんかしくじった?」
「いいから!来て」
と、優姫は俺と樹里が見ている前で2人の腕を掴んでどこかへ行ってしまった。
「なに今の。よく漫画で見る光景だったんですけど…」
「そうだな。しかし、切先、悠さんって似てるよな?」
「そうだね。私思うだけど、優姫の1番目の”お義兄さん”って…」
樹里はそう言って、チッと俺を見る。
「…ありえねぇよ。第一そうだとして、どうして俺たち隠すんだ?」
「そうでは、わかんないけど…」
「俺には優姫の1番目の”義兄貴"が、誰だってどうでもいいんだよ」
「はぁ~~陸、あんた優姫に早く『自分の気持ち』を伝えないと絶対に後悔するよ」
「…んなこと、わかってる」
俺はそれ以上、なにも言えなかった。
…俺は優姫が好きだ。
でも、自分の気持ちを…『今の関係』を変える勇気がない。
「…陸、どこに行くの?」
「トイレ」
と、後ろ向きで軽く手を上げて樹里の傍を離れた。
そして、トイレを出て教室に戻っていると数学準備室のほうから声が聞こえてきた。
「もう~~!!バカ」
…この声は優姫?
俺は数学準備室ドアを少し開けた。
「ごめん、本当にごめんなさい…」
悠さんは優姫に謝っていた。
「…ったく、来るなら『来る』って言えよ!悠」
切先が悠さんの名前を呼び、軽く頭を叩いた。
「痛ってよ!兄貴。2人の学校の様子が見てみたくて…つい」
「お前、俺と優姫の『今の関係』を面白がってるだろ?」
「あっ、バレてた?ハハハァ」
「…ったく、お前は…」
「悠のバカ、からかわないでよ!」
俺はそこまでの会話を聞いて、そっと数学準備室のドアを閉めた。
「やっぱり、優姫と切先と悠さんは”義兄妹”かよ…」
俺はこの事実を知った瞬間、不安に襲われた。
でも、この時はそれがなぜか…わからなかった。
そして、すぐに優姫と切先のもう1つの『今の関係』を知る事になるとは思っていなかった。