運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~


「皆様、ありがとうございます。…実はもう一つ報告があります。…枢」

「はい」

と、枢は前に出てマイクを受け取った。

「…突然の報告になってしまいましたが、この度私もある女性と婚約を致しました。…優姫」


―――ザワザワ。


再び会場が一瞬騒めく中、私は前に出て枢の隣に並ぶ。

「うっっ~~、緊張するよ」

「大丈夫だ」

枢は私しか聞こえない声でそう言って、優しく手を握ってくれた。

「…優姫とは、本来ならば私の”義理の妹”になる女性でした。彼女とは幼い頃に出逢って、再会してお互いに密かに惹かれ合っていました。…父と義母にこの事を打ち明けると『血の繋がりはない』からと、あっさりと受け入れてくれました」

その後、枢が話し終わると再び拍手と共に会場から声が上がった。

「切田社長、優姫様。ご婚約おめでとうございます!」

「社長、おめでとうございます!」

「おめでとうございます!」

枢はお義父さんにマイクを渡す。

「…皆様、今後とも『切田グループ財閥』を宜しくお願い致します」

と、私たち家族は頭を下げた。

「ふぅ~、なんだか緊張が解けたらお腹が空いちゃった」

「じゃあ、俺はちょっと挨拶周りをして来る。お前は向こうでなんか食べてろ」

「うん♪」

枢と別れて、食べ物がある所に向かった。

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