運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
【枢】
女子がちょうど離れていった頃、後ろから一ノ瀬の声がした。
「切先~~」
「おう、一ノ瀬。どうし―――」
俺は優姫の水着姿を見て、思わず言葉を失ってしまった。
白に胸元の赤いレースと腰にリボンが付いている水着。
「どう?この前、色違いで一緒に買った新しい水着♪」
「どうかな?…先生」
優姫は恥ずかしそうに言う。
…めちゃくちゃ可愛いに決まってるだろ!?
ああ、今すぐ抱き締めてぇよ~~!!
この3日間、会社が忙しくてろくに優姫に触れてなかったせいか…自制が効かなくなりそうだった。
「…似合ってる」
「…先生もカッコイイよ」
そんな俺たちのやり取りを聞いている一ノ瀬はニコニコ笑っていた。
「切先」
「ん?」
「向こうほう、他の先生もみんなもいないから優姫と2人で泳いで来なよ」
「ちょっと、樹里」
「いいから、いいから♪」
「…なにが『いいから、いいから♪』なんだ?樹里」
と、仁田が現れた。
…一ノ瀬がせっかく気を遣ってくれたのに、なんでこのタイミングで!?
「げっ、陸!?」
「なんだよ、樹里。みんなとビーチバレーしよう思ってと誘いに―――」
仁田の目線が優姫に移って、顔を赤くなるのを見て俺は2人の間に立った。
「それ以上、そんな顔でウチの”義妹”を見ないでくれるかな?」
「そんな顔って、どんな顔ですか?”義兄貴”」
見えない火花が飛び交う。
仁田の前では、もう『教師』じゃない。
「もう、枢も陸もやめてってば!」
「切先、勝負しようぜぇ」
「勝負?」
「俺が勝ったら、優姫と付き合うのを認める事」
…ちょっと、待って!!
認めるもなにも、お前は優姫と付き合ってないだろ!?
「…フン。俺に勝とうなんて100年早ぇよ」
怒りを顔に出さないように必死に堪えている俺を見て、優姫は呆れた顔をしていた。