運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
【枢】
放課後、数学準備室。
「はぁ~、さすがに眠いな」
ここ数日俺は、ほぼ毎晩激しく優姫を抱いてしまっている。
こうなったのも仁田と…”彼女”のせいだ。
「優姫に言わなきゃな…」
…俺と彼女の過去を…
そう思いながらコーヒーを飲んでいると、ドアが開いてある女性が中に入って来た。
「…ノックくらいしてください。…幸野先生」
「あら、冷たいのね。枢」
「ここは学校だ。瑠佳」
「もう、放課後だし問題ないわよ」
瑠佳は微笑む。
「ところで、どうしてこの学校に赴任して来た?」
「偶然よ」
「嘘だな。お前は俺の実家の事を知ってるだろ」
「ええ、…そのせいで私たちは別れた」
「……」
…そう。
俺と瑠佳は、高校から大学時代まで付き合っていた、
大学に入って、俺は会社の手伝いをするようになり瑠佳との時間は無くなっていった。
「…だから、私はあなたと一緒にいられない『寂しさ』を埋めるために浮気をしてしまった」
「もう終わった話だ」
「…枢と別れてから何人かと付き合ったけど、あなた以上には心が揺れなかった」
そう言うと、瑠佳は涙を浮かべながら思いっきり抱き着いて来た。
「…っ、おい」
「好きなの!…枢のことがずっと…」
「……ごめん。もう俺には、なにを引き換えにしてもいいくらいの大切な女がいる」
「『なにを引き換えにしてもいいくらいの大切な女』…」
俺の言葉を繰り返して、瑠佳は目を開いた。
「ん、俺の『初恋』の子なんだ」
「その子と付き合ってるんだ」
「ん。だから…」
「私、諦めないから!」
そう言って、瑠佳は数学準備室を出て行った。
「勘弁してくれ…」
…もし、相手が優姫だとバレたら『危険』かもしれない。
ふっと、不安にそう思った。