運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
【枢】
家。
「…着替えて来るね」
車の中で無言のままだった、優姫がウチに入るとようやく口を開いた。
俺も優姫の後に続いて寝室に入ると、後ろから抱き締めた。
「…ごめん」
「…なんで、謝るの?」
「瑠佳のことを黙ってて…。もっと早く言っとくべきだった」
「教えて、なんで別れたの?」
俺たちは並んで、ベッドに腰をかけた。
「瑠佳はもともと男遊びが酷くて、気まぐれで俺にも声をかけて来た。その後も俺たちの『関係』は続いて行った」
「……」
「やがて…瑠佳は俺のこと本気で愛すようになり、男遊びを辞めて俺たちは付き合うようになった」
「…枢も幸野先生のこと愛してた?」
優姫の声が震えていた。
…本当は聞きたくないくせに…
でも、俺も嘘はつきたくない。
「ん、愛してたと思う。大学に入ってから会社の仕事を手伝うようになって、なかなか逢えなくて瑠佳は『寂しさ』を埋めるために浮気をしたらしい」
「…そっか」
そこまで話すこと、お互い黙り込んだ。
しばらくして、優姫が再び口を開いた。
「ねぇ、もしもの話。…枢と幸野先生が別れてなかったら、私たちは普通の”義兄妹”になってたのかな?」
「…っ」
優姫を抱き寄せて、そのままにベッドに押し倒した。
「…枢?」
「それはない!!絶対に!」
…考えられない。
絶対にありえない。
「もし、そうだったら俺のほうがあいつを裏切ってた」
抱き締める腕に力を入れる。
…優姫が俺の『初恋』だから…
再会した時、10年前に感じた感情が一瞬で、よみがえって来て「ああ、俺は優姫のことが好きだ」と思った。
気持ちが高ぶるほどに…
「枢、『心の居場所』がわからなかったんだよね?」
優姫は最近なんで、俺が毎晩激しく求めた理由に気づいていた。
「…いいよ、何度でも私を抱いて」
「…いつのまに、こんなセリフを言えるようになったんだ?」
「フフフ、こういう私を教えてくれたのは枢でしょ?」
「そうだったな…」
…この愛は、誰であろうと壊させない。
俺は微笑んで、優姫にキスをして…ただ身体の熱を感じていた。