運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
心から愛してるから…
【優姫】
翌日。
「―――次の文章を雨宮さん、読んでくれる?」
「はい」
椅子から立ち上がり、その場で国語の教科書を読む。
「―――はい、そこまで」
幸野先生に声をかけられて私は椅子に座って、そのまま
目線を黒板に向けた。
…幸野先生、今でも枢のこと好きなのかな?
枢は「大丈夫だ」とは言ってたけど…正直、不安になる。
いったい、どうすればいいんだろうか?
私は幸野先生の大人の雰囲気を感じながら、不安な気持ちを振り払っていた。
昼休み。
いつもように樹里と陸と一緒に昼食食べていると、とこからか他の女子の声が聞こえてきた。
「ねぇ、切田先生と幸野先生が付き合ってるんだって!」
「えっ、マジで?」
「なんかね。幸野先生が赴任して来た日に、数学準備室で抱き合ってる2人を見た子がいるらしいよ」
…え?
枢と幸野先生が…抱き合ってた!?
「おい、優姫。大丈夫か?」
「陸…」
「あいつらの言った事なんか真に受けるなよ」
「そうそう、ただの噂だよ♪切先があんな男遊び人と今さらどうにかなるとか、絶対にありえないから!」
「『男遊び人』って…」
「お前、顔怖ぇよ。…樹里」
「だって、本当の事じゃん」
「まぁな…。優姫、お前は切先の『婚約者』だろ?だから、信じてやれよ」
そう言って、陸は私の髪をクシャグシャに撫でて微笑んだ。
「うん、そうだね…」
…私が枢を信じてあげなくきゃ!
「…雨宮さん」
話がちょうど落ち着いた頃、噂の女性の声がした。
「こ、幸野先生!?」
「「げっ!?」」
「フフ、驚かせちゃったかしら?ごめんなさい」
「いえ…ところでなにか私に用ですか?」
「…ちょっと聞きたい事かあるんだけど、準備室で話せるかしら?」
「はい」
「「……」」
心配そうに私のほう私を見つめる2人に「大丈夫だよ」と微笑んで、幸野先生と国語準備室に向かった。