運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~

過去と新たな運命の2人



【陸】


「お客様、着きました。お支払いは…」


「ああ、これでお願いします」

と、俺は黒いクレジットカードをタクシーの運転手に渡す。

「仁田君、あなた…」

幸野先生は驚いた様子で俺を見る。

「あれ、知らなかった?俺、『切田グループ』と提携を結んでいる『GWホテル』の御曹司。一応」

「そ、そうだったのね…」

「…とりあえず、あんたも一緒に降りて」

「えっ、ちょっと!!」

「いいから、来い!」

俺は先生の腕を強引に引っ張って、マンションのウチまで連れて行った。



家。


「ちょっと、なにす…」

―――ドン!


俺は部屋に入るなり、先生を壁ドンして逃げられないようにした。

正直、どうして自分が”この女”にこんなことをしてるのかわからない。

…ただ、腹が立つ。

この女がした事が…

切先をあんな目に合したことが…

いや、どうして…

「…して…」

「え…?」

「どうして、あんな事をしたんだよ」

「あなたには関係ないわ…」

「…っ、確かに俺には関係ねぇよ!けど、なんであんたは自分自身を大切にしねぇんだよ!」

「…私だって、こんな”自分”大嫌いよ!」

先生は俺の胸を八つ当たりするように叩く。

「…やっばり、私みたいな”愛人の子”には人に愛される資格ないのかな?」

「”愛人の子"…?」

そこまで言うと、なにかを諦めたように先生は静かに話し始めた。



< 85 / 122 >

この作品をシェア

pagetop