運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~
学校、数学準備室。
「昨日はごめんなさい。身体は大丈夫そうね」
「ん、優姫はちょっと無理をさせたけど…」
そう言いなら、枢は幸せな顔をしている。
「これ以上、あなたたち邪魔をしないわ。それと、セフレの連絡先も全員消去した」
「…なにかあったのか?」
それから、私が母さんの”愛人の娘”だと話した。
「…実の父親のことは知ってるのか?」
「知らない」
「そうか…」
「私、自分自身を大切にしてみるわ。…最後に聞いていい?」
「なに?」
「昔、枢は私のこと愛してた?」
「ああ…。今も『友達』として大切な存在だ」
枢はそうはっきりと答えてくれた。
…残酷な『答え』ね。
でも、嫌いじゃない。
「瑠佳、お前は…?」
「私も同じ気持ちよ、枢」
…あなたは、初めて私が愛してた人だから…
「…じゃあ、私。先に行くね」
そう言い残して準備室を出た。
「…あれ?涙が…っ」
廊下を少し歩いた時、自分が涙を流してる事に気がついた。
「…また、泣いてるのかよ」
「…っ、り…」
陸に腕を引っ張られて、今度は国語準備室に連れ込まれた。
「よく頑張ったな、瑠佳」
「…枢と私の話を聞いてたの?」
「ん、お前が心配で…」
陸が私を”あんた”ではなく、”お前”と呼んだだけでなぜか胸が高ぶる。
…これじゃ、まるで…
「瑠佳、俺の前では本当のお前でいろよ」
陸は私の涙を指で拭った。
「…こんな弱い私を見せたのはあなたが初めてよ」
…彼に『恋』をしてるみたいじゃない。
身体から始まった『恋』じゃなく、心から始まった『恋』を陸とならできるかもしれない。
不思議とそう思える自分がいる。
「フフ…」
「なにを笑ってるんだよ…」
「まだ、教えない。…んんっ…」
そう言って、陸の首に腕を回して初めて私からキスをした。