運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~


学校、数学準備室。


「昨日はごめんなさい。身体は大丈夫そうね」

「ん、優姫はちょっと無理をさせたけど…」

そう言いなら、枢は幸せな顔をしている。

「これ以上、あなたたち邪魔をしないわ。それと、セフレの連絡先も全員消去した」

「…なにかあったのか?」

それから、私が母さんの”愛人の娘”だと話した。

「…実の父親のことは知ってるのか?」

「知らない」

「そうか…」

「私、自分自身を大切にしてみるわ。…最後に聞いていい?」

「なに?」

「昔、枢は私のこと愛してた?」

「ああ…。今も『友達』として大切な存在だ」

枢はそうはっきりと答えてくれた。

…残酷な『答え』ね。

でも、嫌いじゃない。

「瑠佳、お前は…?」

「私も同じ気持ちよ、枢」

…あなたは、初めて私が愛してた人だから…

「…じゃあ、私。先に行くね」

そう言い残して準備室を出た。



「…あれ?涙が…っ」

廊下を少し歩いた時、自分が涙を流してる事に気がついた。

「…また、泣いてるのかよ」

「…っ、り…」

陸に腕を引っ張られて、今度は国語準備室に連れ込まれた。

「よく頑張ったな、瑠佳」

「…枢と私の話を聞いてたの?」

「ん、お前が心配で…」

陸が私を”あんた”ではなく、”お前”と呼んだだけでなぜか胸が高ぶる。


…これじゃ、まるで…


「瑠佳、俺の前では本当のお前でいろよ」

陸は私の涙を指で拭った。

「…こんな弱い私を見せたのはあなたが初めてよ」


…彼に『恋』をしてるみたいじゃない。


身体から始まった『恋』じゃなく、心から始まった『恋』を陸とならできるかもしれない。


不思議とそう思える自分がいる。


「フフ…」

「なにを笑ってるんだよ…」

「まだ、教えない。…んんっ…」

そう言って、陸の首に腕を回して初めて私からキスをした。

< 89 / 122 >

この作品をシェア

pagetop