僕のとなりで。
もうすぐ年始の休みが終わる頃、僕達は成人式会場へと向かっていた。

着慣れないスーツと着物。

お互い顔を見合って笑ったけど、高校時代とは明らかに違うことを感じていた。

『リョウスケ、お前さぁ~、いつまでフリーでいんのぉ?』

珍しく、カズヤじゃなくユウが僕のことを聞いてくる。

僕は、かなり特殊な環境で育ったと思うけど、一緒にいる4人も、それなりに険しい生活を送ってきていて、詳しいことは、お互いに薄々気付いていたから、改めて聞こうとはしなかった。

それは就職のこととかも一緒で、踏み込んだ話をすることで、お互いの格付けをしているような感じ…というより、自分が1番ダメだと気付かされるのがイヤだったり、本当に先のことを考えてなかったり、話してくるのを待っててくれたり。それぞれに思いがあったけど、なんとなく話せなかった。

『年明けたし、そろそろ何か始めようとは思うけど、まだハッキリとは…。』

僕の言葉を聞いて、ユウの目が輝いた。

『決まってないなら、一緒に就職しない?!俺の先輩が紹介してくれるって言ってんだけど、なんとなく不安でさぁ~。結構イイ金もらえるらしいし!』

ユウの持ってくる話は、いまいち信用できない…。
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