僕のとなりで。

“♪~♪~♪~”

携帯が鳴る。

(カズヤ)

『もしもし。』

シカトは違う気がして、とりあえず出てみた。

『急にいなくなるから、どうしたのかと思ったよ。今どこ?』

カズヤと2人で話したかった。

『帰る。』

戻れば仲間がいる。成人式の祝いで飲み会をする予定だったから。

『とりあえず、迎えに行くよ。みんなには店に先行ってもらうからさ。』

ダメなのは分かっても、カズヤに世話をやいてもらうのは、なんだか居心地よくて、どうしても甘えてしまう。

『分かった。』


しばらくするとカズヤが約束通り1人で迎えにきた。

黙って車に乗る。

『で、何か話したいことあんだろ?』

カズヤは、全部分かってる…。

『なんで言わなかったんだよ。』

理由なんて聞かなくても分かったけど、カズヤから直接聞きたかった。

『俺もヒトミも、みんなといる方が楽しんだよ。だから、みんなでいる時は、付き合ってることを隠すっていうよりは、そういう関係を無しにしたかったんだ。みんなに話せば、俺達が意識しなくても、周りは意識するだろ?だから、言わなかった。』

やっぱり、カズヤは僕が欲しい言葉をくれる。
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