僕のとなりで。
『俺は、家族とイイ思い出がないから、その分、仲間との思い出が全部なんだ。だから…なんか…。誰が欠けてもイヤなんだよ。特にカズヤは、兄貴みたいな気がしてるから、不安なんだよ。』

普通だったら恥ずかしくて言えないことを口走ってた。

『ありがと。リョウスケって、全然そういうこと言わないから、スゲェ嬉しいよ。てか、結婚したって皆でいられんだろ。俺とヒトミだよ?』

カズヤが笑う。

『確かに。別の女なら気使うけど、ヒトミとカズヤだった。』

言いたいことが言えて、ホッとした自分がいた。

『変わらなきゃな。』

僕の言葉に、カズヤが不思議そうな顔をする。

『精神的には仲間に頼ってばっかだし、経済的には兄貴に頼ってばっかだし、何も自分でしてないんだよ、俺。ハタチだし、少し自分から動いてみっかな。』

カズヤが笑う。

『そう思っただけで、変わり始めてんじゃね?頑張れよ。でも、頼られないのは、俺の性格上、ちょっと寂しいんだよ。手伝うくらいしたいから、少しは頼れよ。』

カズヤの言葉に泣きそうになった。

まだまだ甘ちゃんだな…。
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