僕のとなりで。
しばらく沈黙が続いた。

『なんか、やっぱ俺ってダメっぽい。やる気になったって、やった仕事がウリだよ?マジ、いっきに冷める。しかも、病気移されるなんて、マジ、笑うしかないって。』

ユウが力なく言う。

『検査したのか?』

首を振るユウ。

『じゃあ、まだ分かんないじゃん!すぐ検査行くぞ!』

ユウの腕を掴む。

『ムリだよ。てか、マジ完璧だって。HIVだって、本人が言ったんだし、相手が頼むからゴムつけなかったし。やっぱ、ババァ相手に生はなかったよな…。』

ユウが、背中を丸め、顔をふせる。

『てか、相手が言ったからって、検査しなくていいことにはなんねぇよ!早く診てもらえって!どんな結果だったとしても、ちゃんとハッキリさせた方が、スッキリするよ!』

感染してないことを信じたい。

最悪な結果でも、発見は早い方がいい。

そう思った。

『つぅか、お前、簡単に言うけど、どんだけ怖いか分かんのか?!人事だから、そんなこと言えんだよ!俺は絶対行かないからな。』

検査は受けるべきだと思う。

でも僕は、カズヤなら、なんて言ってあげんだろ…と思いながら、説得する自信を無くしていた。
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