僕のとなりで。
お互い、しばらく何も言わなかった。

『なぁ。』

ユウが言う。

『エイズって治らないんだよ。知ってた?』

『知ってた。』

僕は一言だけ答えた。

『そぉなんだ。じゃあさ、簡単に人に移んのも知ってた?』

『知ってた。』

また一言だけ答える。

『死ぬかもね…俺。てか、もう誰も遊んでくんないよね。』

『お前、バカだろ?』

あまりにも弱気なユウにイライラした。

僕達の中では、いつも明るいムードメーカーだから、弱いユウは見たくなかった。

『バカってなんだよ。自分がそういう立場になれば分かるよ。もう、悪いこと以外、何も考えらんねぇ。』

ユウは深いため息をつく。

『これだけ言わせて。お前は俺達と、どういうつもりでつるんでたんだよ?病気だからってシカトするようなちっちゃい奴は1人もいねぇだろ。てか、ハッキリしてもいない病気に怯えて、俺達のこと信用もしない。キツイのは分かるけど、病気をなんとかしようとは思わないのかよ。検査行く気ないなら、なんで俺を呼んだんだよ。
……。
カズヤに怒られるのがイヤだっただけかよ。俺だって力になりたいのに。』

ユウは涙を流した。
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