僕のとなりで。
保健所につくと、ユウは正直に、自分がHIVに感染している恐れがあることを話した。

『心あたりのある行為から、どのくらい経過していますか?』

受付の人が質問をする。

『2ヵ月過ぎた所です。』

2ヵ月?
HIVについて知識が全くなかった僕は、経過時間が長いことが気になった。

『分かりました。本来は電話などでご予約頂かないと受けられませんが、今回は空きがありますので受付致しますね。検査は匿名で受けられますし、本日中に結果をお伝え出来ますが、詳しい検査が必要な場合は、結果が出るまでに数日掛かる時もあります。』

数日…。時間が掛かった人が感染してんのかな?

『あの、もう1人来ると思うんで、予約してもらえます?』

もう1人?

『大丈夫ですよ。では、その方がいらっしゃいましたら、窓口までいらして下さい。』

ユウが頷く。
検査待ちの間、ユウに話し掛ける。

『もう1人って誰だよ?』

ユウが不安げな顔で言う。

『アサミちゃん…。』

かなりビックリだった。

『付き合ってんの?知らなかった。』

ユウが首を振る。

『付き合ってないから余計にヤバイんだよ。』

自分の時より不安そうだった。

『ユウ!』

アサミちゃんだ…。
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